JR長野駅の『門前回廊』が出来るまで
長野の玄関口である、JR長野駅・善光寺口のシンボル的な存在の大きな庇と列柱は『門前回廊(もんぜんかいろう)』と呼ばれ、長野の歴史と伝統を表現した大庇(おおびさし)【高さが約18m、幅が約140m】の下を構成する木製ルーバーとそれらを支える12本の柱には、長野市内各所から搬出したスギ材が使用されています。
門前回廊が出来るまで
材料となる長野市産の杉の搬出
長野市のスギです。大庇や柱の材料となります。
この写真は長野市松代町の樹齢60年のスギ林です。
伐採
高性能林業機械・ハーベスタで伐り出します。
ハーベスタは1台で伐倒から枝払い、玉切りまで連続で行うことが出来る優れた機械です。
※関係者による見学会が行われました。
大きな機械が入れないところは、熟練作業者がチェーンソーで伐り出します。
所定の長さに切りそろえ(=玉切りと呼ばれる作業です)、山土場と呼ばれる集積場に集めます。ここから森林の外へまとめて運び出します。
加工(長野森林組合)
長野森林組合の木材加工工場に運び入れられた丸太を製材し、板状にします。
ここでは末口φ220以上の芯去り材(丸太の芯を外して製材したもの)を、丸太1本から2本取りしました。
大庇用と列柱用に製材されました。
加工(協力会社へ)
特殊な熱処理加工をするため、大阪の越井木材工業株式会社の加工工場へ運びます。
無事に到着しました。
越井木材工業株式会社の工場にて、サーモウッドという特殊な熱処理加工をすることで、高い寸法安定性と耐久性が付与されます。
サーモウッドは薬剤を使用せずに熱と水蒸気だけで木材の性質を向上させる特殊な技術です。
更に木材の加工をします。
これは小さな部材を貼り合わせて大庇の形にしています。
木材保護塗料を塗り、更に耐久性を高めます。
大阪から運ばれてきた大庇と製品が長野市・信州新町の倉庫に搬入されました。
加工②
ルーバーとして取りつけできるよう、金具を取り付けるなどの加工をします。
搬入
長野駅の建設工事現場に搬入されました。
列柱の加工
大庇を支える12本の鉄骨の柱を、サーモウッド処理(不燃処理)した外装材2000×7段、1080×1段で囲みました。
取りつけ
いよいよ取付です。
大庇ユニット(3800個、列にして489列、1列あたり7~8ユニット)を大庇の鉄骨に取り付けました。
大庇です。近くで見るとこんな構造になっているんですね。
完成
お近くにお越しの際は是非、大庇を見上げてみてください。